緑内障治療の最初の選択肢として点眼治療を行いますが、「いつまで続ければいいのか」「今使っている目薬は最適なのか」といった不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。点眼治療は進行を抑えるためにも継続して行うことが重要です。ここでは点眼薬の種類や副作用、正しい点眼の方法などを紹介します。

緑内障の治療方法

現在の医療では、一度傷ついた視神経を再び回復することはできません。しかし、緑内障は十分に眼圧を下げると、これ以上病気が進行しないように止める、あるいは遅らせることができます。

また、眼圧が元から高くない正常眼圧緑内障の場合も、眼圧をさらに下げることで病気の進行を遅らせることができます。

緑内障はできるだけ早期に発見し、早い段階で治療を開始することが重要となります。緑内障の治療方法は点眼薬(目薬)による薬物療法、レーザー治療、手術があります。

薬物療法(点眼治療)

緑内障の点眼薬にはそれぞれ効果の異なるいくつもの種類があります。

具体的には眼圧を抑える作用があるもの、房水が作られるのを抑える作用のあるもの、房水の流れを促す作用のあるもの、などがあります。緑内障の重症度や症状によって処方されます。

レーザー治療

点眼による薬物療法開始前に行うレーザー治療があります。レーザー治療は効果があれば数年間症状を抑えることができます。

レーザー治療では、房水の出口にあたる線維柱帯にレーザーを照射することで房水の流れを促し、眼圧を下げることを目的とします。

レーザー治療については「緑内障でレーザー治療は効果的?副作用はある?眼科専門医が徹底解説」もご覧ください。

手術

薬物療法やレーザー治療の効果が不十分な場合に手術が行われます。

大きく分けて、眼圧に影響を与える房水を眼外へ流すバイパスを作る手術と、線維柱帯(目の中の水分が出ていく所)を広げて房水の排出を促進する手術があります。


当院の緑内障手術については「緑内障の手術」をご覧ください。

緑内障治療で使う点眼薬(目薬)の種類は?

緑内障の治療に使用される点眼薬は次のような種類があり、症状や重症度に合わせて処方されます。

点眼薬の種類

  • プロスタグランジン関連薬
  • β遮断薬
  • EP2受容体作動薬
  • 炭酸脱水酵素阻害薬
  • α2受容体刺激薬
  • 副交感神経刺激薬
  • α1受容体遮断薬
  • Rhoキナーゼ阻害薬

上記の内、プロスタグランジン関連薬、β遮断薬、EP2受容体作動薬のいずれかを選択することが多く、効果の出方によっては他の複数の薬剤を組み合わせて処方されることもあります。近年では2種類の成分を組み合わせた合剤も開発されており、選択の幅が広がっています。

ここでは「プロスタグランジン関連薬」「β遮断薬」「EP2受容体作動薬」の特徴・副作用について紹介します。

プロスタグランジン関連薬

【特徴】

眼圧を上げる房水の排出を促し、眼圧を下げて緑内障の進行を抑える薬です。現在の緑内障点眼薬の中では最も眼圧を下げる効果が高い薬で、処方頻度が高く、全身の副作用が比較的少ないと言われています。通常は1日1回夜寝る前に点眼します。

【副作用・注意点】

点眼開始直後に、結膜充血やしみるなどの症状があらわれる可能性があります。また、まつげが異常にのびる、まぶたが黒くなる、まぶたがくぼむなどの副作用が出ることがあります。点眼後はあふれた薬液をティッシュなどでふき取る必要があります。

β遮断薬

【特徴】

眼圧を上げる房水の産生を抑え、眼圧を下げて緑内障の進行を抑える薬です。1日1回朝に点眼するものと、持続型の1日1回のものがあります。

【副作用・注意点】

点眼直後はかすむため、運転前は使用しないなど注意が必要です。充血やかゆみ、異物感などの症状、まれに気管支収縮作用や心血管系の副作用があらわれることがあります。気管支喘息や、慢性閉塞性肺疾患、重篤な心疾患などをもつ患者に対しては使用できないことがあります。

EP2受容体作動薬

【特徴】

眼圧を上げる房水の流出を促進することで、眼圧を下げて緑内障の進行を抑える薬です。通常1日1回点眼します。

【副作用・注意点】

点眼後、一時的に霧がかかったように見えることがあります。このような症状が見られた場合は、自動車の運転を控えるなど十分に注意する必要があります。全身の副作用が比較的少ないですが、白内障手術後の人は眼底に病気を発症する可能性があるため使用できません。

点眼薬(目薬)の正しい使い方とは?

手をせっけんと流水でよく洗います。

②下まぶたを軽く指で開き、少し上を見る状態で1滴を確実に落とします。このとき、容器がまぶたやまつ毛に触れないように注意しましょう。

③点眼後はまばたきをせずにまぶたを閉じます。しばらくまぶたを閉じるか、目頭と鼻すじの間を軽く押さえます。目の周りにあふれた液は、清潔なティッシュなどで軽くふきとります。

点眼薬を持っている手が震えてうまくさせない場合は、点眼薬を持たない手でげんこつをつくり、下まぶたにあてて軽くひきます。げんこつに点眼薬を持つ手をのせ、固定した状態で点眼することも有効です。

緑内障の治療ははりの眼科へ

緑内障は症状に合わせた治療を選択すること、治療を継続することが何より重要です。当院では治療方法とともに、治療を継続することの重要性についても丁寧にお話ししています。現在緑内障の治療中でご不安を抱えている方も、一度当院へご相談にいらしてください。

はりの眼科院長|張野正誉 監修

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