アトピー性皮膚炎では全身にさまざまな合併症が起こります。

とくにアトピー性皮膚炎の影響で起こる「アトピー性白内障」は失明のリスクが大きい病気だと言われています。

このページではアトピー性白内障についての原因や治療方法、予防方法などを紹介します。

アトピー性皮膚炎の方はぜひ参考にしてください。

 

アトピー性皮膚炎と白内障

アトピー性白内障について紹介する前に、まずは白内障とアトピー性皮膚炎の病気について概要を紹介します。

 

白内障とは

目の構造をカメラに例えると、レンズの役割をするのが水晶体です。

もともとの水晶体は透明で、光が目の中に入ってきたときに光を屈折させてピントを合わせるという役割をもちます。

しかしさまざまな理由によって水晶体が白く濁ることにより正常に働かなくなることがあるのです。

白内障の原因は主に加齢や薬、アトピー性皮膚炎などの病気が関係しています。

 

アトピー性皮膚炎とは

かゆみのある湿疹が特徴的な皮膚疾患です。良くなったり悪くなったりを繰り返す症状が6か月以上続いたときにアトピー性皮膚炎だと診断されます。

アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギーによる炎症、皮膚のバリア機能異常、かゆみがそれぞれ関係して起こることがわかっています。

 

また中学生~高校生になると、ストレスの多いような生活環境の変化にともなってアトピー性皮膚炎の症状が悪化するかもしれません。

アトピー性皮膚炎で起こる合併症のうち、目の病気として代表的なものは角結膜炎、円錐角膜、眼瞼皮膚炎、網膜剥離、白内障などです。

とくに網膜剥離と白内障は失明することもある重大な病気のため早期発見・早期治療が大切です。

 

アトピー性白内障の原因

アトピー性白内障とは、アトピー性皮膚炎のアトピー性皮膚炎の影響で起こる白内障のことです。

アトピー性白内障がなぜ起こるのかという原因はまだはっきりとわかっていません。

しかしアトピー性皮膚炎の症状が顔に出ており、病気になっている時期が長いほど、アトピー性白内障になりやすい「ハイリスクな人」だと考えられています。

 

アトピー性皮膚炎のかゆみによって無意識に目をこすることによる外傷や、ステロイド点眼薬の副作用も関係していると言われています。

 

アトピー性白内障の予防方法

かゆみによって目をこするとアトピー性白内障だけでなく網膜剥離の原因にもなるため、かゆみが出にくいようにアトピー性皮膚炎の治療をしっかり受けましょう。

さらにハイリスクな人は眼科で定期的な検査を受けるとよいでしょう。

 

またステロイド点眼薬の使用を急に中止することで副作用があらわれやすくなります。

アトピー性皮膚炎の治療でステロイド点眼薬を使っているときには、医師の指示があるまで自己判断で使用を中止しないように心がけましょう。

 

アトピー性白内障の症状・見え方

一般的な白内障の場合は高齢者によくみられる病気ですが、アトピー性白内障は10~30代の若い人に多いことから若年性白内障とも呼ばれています。

ここでは一般的な加齢による白内障とアトピー性白内障の違いを含めて症状や見え方を紹介します。

 

アトピー性白内障の症状

「目のかすみ」、「視界が暗く感じる」、「光がまぶしく感じる」ことが白内障の代表的な症状です。

加齢による白内障の場合は両目に症状があらわれやすく、アトピー性白内障の場合は「片目だけに症状があらわれやすい」のも特徴です。

そのためアトピー性白内障だと気がつかずに症状が悪化してから分かることもあります。

 

アトピー性白内障の進行速度

加齢による白内障は病気が悪化する速度はゆっくりとしています。

しかしアトピー性白内障の場合は若年者に多いため症状の進行が速く、「急激に視力が低下する」こともあります。

目の見え方が気になる方は白内障セルフチェックで詳しく紹介しているので参考にしてください。

 

アトピー性白内障の治療方法

アトピー性白内障の進行を止めるには、初期の段階で点眼薬を使って症状の進行を抑えます。

しかし点眼薬だけで病気が治るわけではありません。

とくに症状が悪くなり、生活上の問題が起こっているようなときには、低下した視力を回復するための手術が必要です。

 

アトピー性白内障の手術とは

手術では、超音波を使って濁った水晶体を砕いて吸引してから、水晶体の代わりとなる人工レンズを挿入します。

このときに挿入する人工レンズは、ピントを調節する力がありませんので、手術後もコンタクトレンズや眼鏡の着用が必要になります。

 

アトピー性白内障の手術リスク

加齢によって起こる白内障の場合、水晶体の中心や周囲から濁っていきますが、アトピー性白内障は水晶体を包んでいる水晶体嚢という部分から濁っていくのが特徴です。

このとき水晶体嚢が濁った影響に引き続いて、水晶体全体が濁ると手術のリスクが高くなります。

 

アトピー性白内障は網膜剥離などを合併していることが多く、同時手術が必要な場合もあります。

また手術後には、網膜剥離の発生や症状の悪化が起こることもあるため定期的な検査も必要です。

白内障手術の流れや注意点などについては白内障手術をご覧ください。

 

アトピー性白内障の手術費用

当院では白内障の日帰り治療に対応しています。保険診療の場合、下記の金額が目安です。

具体的な金額については、当院までご相談ください。

1割負担の方片眼約20,000円
2割負担の方片眼約40,000円
3割負担の方片眼約60,000円

 

アトピー性白内障の治療は「はりの眼科」へ

アトピー性白内障の難治症例や合併症に対応するためには、手術方法に工夫が必要です。

当院の白内障手術は、精密さが求められるようなアトピー性白内障の手術にも対応しています。

他院で治療が難しいと言われた方も、お気軽にご相談ください。

 

はりの眼科院長|張野正誉 監修