白内障は徐々に進行していく病気です。そのため、視力低下や見えづらさに気づかないまま日常生活を過ごし、いつの間にかQOL(生活の質)が低下している方も少なくありません。

今回は、白内障と診断されたらどのような生活への影響があるのかなど、気になる疑問を解説します。

 

白内障の症状

白内障のおもな症状には「物がかすんで見える」「ぼやける」「まぶしい」などがあります。

白内障は、加齢などにより目のレンズにあたる水晶体が濁ることで起こります。

 

水晶体の濁り方は人によってさまざまであるため「暗いところで以前より見えにくい」「片目で見ると物が2重に見える」「左右で明るさが異なる」などの症状が現れることもあります。

 

しかし、初期の白内障の場合は見え方に違和感がないことも多く、進行するまで気づきにくい病気です。

 

白内障の初期症状については「白内障の初期症状はどう見える?セルフチェック項目とその見分け方を解説」もご覧ください。

 

白内障の生活への影響は?

白内障のおもな原因は加齢であり、早い人では40代から発症し、年齢が上がるごとに有病率も増加します。

60代では約4割、80代ではほとんどの人に白内障の症状が見つかっています。

 

このように白内障は誰にでも起こりうる病気です。

では白内障が日常生活に及ぼす影響にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

事故リスクの増加

白内障により視力の低下がおこることで転倒による骨折リスクが高くなると考えられています。

アメリカの調査では、両目が白内障の場合の転倒リスクは1.8倍とされています。

 

また、車の運転にも危険が伴います。

白内障のある方と白内障のない方と比べると、交通事故リスクが2.5倍に増加すると言われています。

白内障は、視力低下や、まぶしく感じる、かすんで見えるなどの症状があるため、運転をするのは大変危険です。

 

白内障は徐々に進行していく病気であるため、普段の生活の中では不鮮明な視界で過ごしていることに気づいていない方も少なくありません。

一瞬の見誤りで大事故を引き起こしてしまうリスクがあります。

 

QOL(生活の質)の低下

白内障が進行すると、視力の低下だけでなく、左右の明暗差を感じたり、物が2重3重に見えたりすることもあります。

その結果、仕事や読書、スポーツなど、すべての日常行動に不自由を感じるようになります。

 

認知症の発症リスク増加

白内障のある人は白内障のない人に比べて認知症の発症リスクが約3倍高いとされています。

白内障手術によって視力が改善されることで、認知症になるリスクが大幅に下がると考えられています。

 

白内障の進行を予防する方法や生活上の注意点は?

白内障の最大の原因が「加齢」であることから白内障を完全に予防することはできません。

しかし、白内障の進行を少しでも遅らせるためにご自身でできる注意事項を紹介します。

 

生活習慣病の予防

生活習慣病の一つである2型糖尿病になると、若くても白内障の進行を早めてしまいます。

生活習慣病の予防は「食事」と「運動」で行ないましょう。

 

食事で大切なのは「バランスのとれた食事を適量とること」です。脂肪や糖質が多い食生活を続けていると血糖値が上がりっぱなしになってしまいます。

運動は、高血糖の改善だけでなく高血圧や脂質異常症などの合併症の予防にも効果的です。

運動することで血液中のブドウ糖や脂肪酸の利用が促進されるため、血糖値が下がります。

 

強い紫外線を避ける

強い紫外線を長時間浴びることも白内障の進行を早めてしまいます。

肌への紫外線対策を欠かさない方は多いですが、目の紫外線対策もとても大切です。

目を守るための紫外線対策で有効なサングラスやつばの広い帽子、日傘などを組み合わせて使いましょう。

 

白内障の治療方法

白内障が原因で仕事に支障をきたしたり、日常生活に不自由を感じるようになってきたりした場合は手術を検討します。

白内障の手術は日本で年間約160万件行われており、きわめて安全性の高い手術です。

濁った水晶体のかわりに人工の眼内レンズに入れ替えます。

 

白内障の治療を行うことは、視覚そのものの改善だけでなく、心の健康や社会生活機能の改善にもつながると考えられます。

しかしながら「目の手術は怖い」と感じている方も少なくないでしょう。

白内障を発症していても多くの場合は急いで手術を受ける必要はありません。

 

手術のタイミングはかかりつけ医と相談しながら、ご自身にあった最良の選択をしましょう。

白内障の治療については「白内障の治療はどれがいい?手術と点眼薬の違いについて解説」もご覧ください。

 

白内障の治療は「はりの眼科」へ

40歳を過ぎると眼の疾患の罹患率が増えますので、自覚症状がなくても健康診断や人間ドッグで定期的に視力検査を行いましょう。

 

「眼科ドッグ」では、白内障だけでなく、緑内障糖尿病網膜症加齢黄斑変性などの疾患も総合的に診断することができます。

早期発見、治療でご自身の大切な目を守りましょう。

 

当院では白内障の日帰り手術を行っています。

手術のタイミングに関してもそれぞれの症状やライフスタイルなどを考慮しながら、時間をかけて話し合うことを大切にしています。

気になる目の症状がある方はもちろん、症状はがない方もまずは視力検査にいらしてください。

 

【はりの眼科院長|張野正誉 監修

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