40歳以上の20人に1人がかかると言われている緑内障。視野が狭くなる病気ですが、症状は長い年月をかけてゆっくりと進むため、病気が進行するまで気付かない方も少なくありません。
緑内障の治療は基本的に点眼治療と考えられていましたが、最近では点眼治療を開始する前にレーザー治療を行うという方法もあります。
今回は、緑内障の治療方法の一つであるレーザー治療について詳しくご紹介します。
緑内障の治療方法は?
緑内障は40歳以上の5%、20人に1人はかかると言われている身近な病気です。
眼圧などによって目の奥にある視神経が傷つくことで、視野が狭くなったり、部分的に欠けて見えたりする病気です。
一度傷がついた視神経は元に戻ることはないため、緑内障を完治させることはできません。
緑内障の治療の基本は「眼圧を下げること」です。眼圧を下げることで、視野が狭くなる症状を抑えることを目的とします。
眼圧を下げる方法には「薬物療法」「レーザー治療」「手術」の3つがあります。
緑内障の薬物療法
基本とされてきた薬物療法では、点眼薬を用いて眼圧を下げることで緑内障の進行を抑えます。
点眼薬は現在さまざまな種類が開発されており、症状や重症度などに合わせて処方されます。
緑内障のレーザー治療
緑内障の新しい治療方法として、点眼による薬物治療開始前に行うレーザー治療があります。
レーザー治療で効果が現れた場合は数年間症状を抑えることができます。
緑内障の手術
薬物療法やレーザー治療の効果が見られない場合は手術が行われます。
眼圧に影響を与える房水を眼外へ流すバイパスを作る方法や、房水の排出を促す線維柱帯(目の中の水分が出ていく所)を広げる方法を用います。
手術を行なった場合、定期的な通院による管理が必要です。
手術の効果によっては再手術となる場合もあります。
緑内障に対するレーザー治療とは?
緑内障の新しい治療方法である、点眼を開始する前に行うレーザー治療について詳しくご紹介します。
レーザー治療は効果が見られた場合は数年間症状を抑えることができます。
また、治療の初めからレーザー治療を行うほかにも、点眼治療では十分に眼圧がコントロールできない場合や、副作用により点眼治療を続けることが難しい場合の選択肢ともなります。
レーザー治療の目的
眼圧には目の中を循環し栄養を与える役割を果たす「房水」が大きく影響します。
役割を終えた房水は、線維柱帯(房水の出口でフィルターのような組織)から目の外に排出されることで眼圧を維持しています。
しかし、この出口の抵抗が増すと、眼圧が上昇し緑内障を起こす原因となります。
レーザー治療では、この房水の排水溝にあたる線維柱帯にレーザーを照射することで房水の通りを良くし、眼圧を下げることを目的とします。
レーザー治療の方法
治療は点眼麻酔をし、目に特殊なコンタクトレンズを当てます。
線維柱帯にピントを合わせて、強さを調節しながらレーザーを照射します。
レーザー治療のメリット
レーザー治療は、外来通院で行えるため、治療前後の日常生活への制限もほとんどありません。
また、レーザー治療の痛みはほとんどなく、10分程度で終わります。
眼圧が下がる効果が薄れた場合は再度レーザー治療を行うことも可能です。
レーザー治療の副作用
治療後一時的に眼圧が上がったり、炎症が起きたりする場合があります。
多くの場合は1週間ほどで落ちつきます。
緑内障は早期発見・早期治療が重要
緑内障には「視野が狭くなる」「一部が欠けて見える」といった症状がありますが、自覚症状はほとんどありません。
そのため、気づかないうちに症状が進行していたということも少なくありません。
また、片方の目に異常が表れた場合、無意識にもう一方の目がカバーするため異常に気づきにくいとも言われています。
両目で見ても「見えにくい」と感じたころにはすでに緑内障が進行している可能性があります。
緑内障はなによりも早期発見・早期治療が大切です。
自覚症状がほとんど出ない病気だからこそ、定期的な眼科検診を受けましょう。
緑内障の治療ははりの眼科へ
緑内障は失明する危険を伴う大変怖い病気です。
しかし、定期的に眼底検査や視野検査などを受け、適切な時期に治療されると、生涯にわたって視力と視野を保つことができるようになっています。
当院では日帰りで行えるレーザー治療や手術にも対応しております。
気になる症状がない場合も40歳を過ぎたら定期的に検査を受けるように心がけてください。
【はりの眼科院長|張野正誉 監修】