物がぼやけて見えたり、物が二重に見えたりするなどの症状が現れる白内障。
症状が進行してしまうと手術を受ける必要があります。
白内障の手術は、濁った水晶体のかわりに人工の眼内レンズに入れ替える手術ですが、この眼内レンズには種類があり、選ぶレンズによって見え方に違いがあります。
今回は白内障の眼内レンズはどれがいいのか、また選ぶ際のポイントについてわかりやすくご紹介します。
白内障に使われる眼内レンズの種類
白内障に使われる眼内レンズは大きく分けて「単焦点レンズ」「多焦点レンズ」の2種類があります。
単焦点レンズ
単焦点レンズは「近く」「中間」「遠く」の3つにわけられ、どこがハッキリ見えるようになりたいかで選びます。
近くは手元の30~50cm、遠くは5m より遠くの距離を指し、中間はその間の60cmから1mくらいの距離を指します。
例えば、車の運転、サッカーやゴルフなどのスポーツをする方の場合は、遠くがハッキリ見えるレンズがよいでしょう。
テレビを見たり、 料理をしたりすることが多い方には中間がハッキリみえるレンズ、スマートフォンやパソコン、新聞や本を読む作業が多い方には近くがハッキリ見えるレンズが勧められます。
焦点があっていない箇所はぼやけるため、遠くに焦点を合わせたレンズを挿入した場合は、手元を見るために老眼鏡が必要となります。
また、近くに焦点を合わせたレンズを挿入した場合は遠くを見るためにメガネが必要になります。
多焦点レンズ
多焦点レンズは複数にピントが合うレンズで、「遠く」と「近く」の2点にピントが合う2焦点レンズや、「遠く」「中間」「近く」の3点にピントが合う3焦点レンズがあります。
多焦点レンズは、遠くも近くも見えるためメガネを必要としなくなる方が多いのがメリットです。
白内障手術後になるべくメガネを使いたくない方や、メガネの掛けはずしをしたくない方に向いています。
ただし、手術後すべての方がメガネを必要としなくなるわけではなく、メガネなしで生活されている方は約8~9 割です。
ピントが甘かったり、暗いところでは細かい文字が見えにくかったりすることがあります。
白内障の眼内レンズの選び方は?
焦点距離で選ぶ
眼内レンズは水晶体の代わりにピントを合わせてくれる役割を果たしますが、単焦点レンズの場合、すべてのものにピントを合わせられるわけではありません。
ご自身に適した眼内レンズを選ぶためには、なるべく裸眼でいられるように日常生活でよく見ている距離や、見たい距離を考えることが大切です。
ライフスタイルで選ぶ
単焦点レンズの場合、仕事や趣味などで近くと遠くのどちらを見ることが多いかなどライフスタイルから選ぶ方法もあります。
デスクワークの方や読書が趣味の方などは、近くに焦点が合うレンズがよいでしょう。
日常的に車の運転をする方や、ゴルフやサッカーなどのスポーツを行う方は遠くに焦点が合うレンズがおすすめです。
日常生活中で、仕事、家事、趣味など人によってそれぞれのカテゴリーに占める割合は異なります。
一日の中でもっとも時間を占めるカテゴリーに合わせたレンズを選ぶのがよいかもしれません。
多焦点レンズは誰にでも合うわけではなく、緑内障や網膜の病気がある方は、多焦点レンズを選択することができません。
また、多焦点レンズのメリットはは遠くも近くも見えることですが、ピントが甘かったり、暗いところで文字が見えにくかったりすることもあるため、小さなものを見るような職業の方には向いていません。
ご自身に適したレンズを選ぶためには診断の上、医師と相談しながら決めましょう。
それぞれのレンズのメリット・デメリット
単焦点レンズのメリット
- 見え方の質が良い
- 自然な見え方
- 保険適用で選びやすい
単焦点レンズのデメリット
- メガネが必要
多焦点レンズのメリット
- 近くも遠くも見える
- メガネがほとんど不要になる
多焦点レンズのデメリット
- ピントが甘かったり、暗いところでは見えにくかったりする場合がある
- 健康保険が適用されないため費用が高い
- 緑内障や網膜の病気がある方は選択できない
生活スタイルに合った眼内レンズの選択を
白内障手術は視力や見え方の改善に加えて、レンズの種類や度数を正しく選択することで、乱視を矯正したり、近視を軽くしたりすることができます。
眼内レンズはメガネやコンタクトのように、簡単にはずしたり交換したりすることはできません。
そのため手術の前にしっかりと目の状態を診断し、お一人おひとりの生活スタイルに合った眼内レンズを選択することが重要です。
白内障の日帰り手術ははりの眼科へ
白内障は、年齢を重ねるとともにどなたにでも起こりうる病気です。
白内障の手術は、日本で年間約160万件が行われている身近な手術と言えるでしょう。
当院でも白内障の日帰り手術を行っております。
目のことでわからないことや不安なことがありましたら、些細なことでもお気軽にご相談ください。
【はりの眼科院長|張野正誉 監修】