飛蚊症(ひぶんしょう)
飛蚊症とは?
飛蚊症とは、眼球の中央にある硝子体というゼリー状の組織の中にある細かい濁りが原因で、自分の目の中にある黒いものが見えている状態で、点状、糸状、あるいはクモの巣状の影として見える症状です。
今まで決め手となる治療法はなく、経過を見るだけというのが長いあいだ眼科の定石でした。
しかしこの度、飛蚊症の原因となっている硝子体の混濁を「手術をしないで、安全に、レーザーで細かく砕く」という新しい治療法が可能になりました。
それが今回、当院に導入されたYAGレーザーによる《ビトレオライシス治療》です。
手術をしない飛蚊症治療《ビトレオライシス》とは?
ビトレオライシス治療》に使用されるYAGレーザー光は物質を熱蒸散させ、砕く作用があります。
このレーザー光を眼球内の混濁に照準を合わせて照射し、濁りを細かい破片に分解することによって目立たなくしたり、分解吸収を促進させ、飛蚊症の症状を和らげていくのがYAGレーザーによる《ビトレオライシス治療》です。
この治療法は海外では数年前から開始されており、良い結果が報告されています。
日本では2017年1月から治験が開始され、2017年12月まで症例登録が行われて有効性を評価することになっています。当院もこの治験に参加しています。
(詳しくはビトレオライシス研究会のホームページhttps://laser-vitreolysis.net/をご参照ください)
ビトレオライシス治療までの流れ
先ずは診察の予約をお取りください。
診察では、瞳を目薬で開く散瞳(さんどう)検査を行いますので、診察後3~4時間ぼやけます。その日は自動車の運転はできません。
もし、飛蚊症が網膜の病気が原因で起こっている場合、その病気を先に治療します。
《ビトレオライシス治療》は混濁の場所、大きさ、個数などにより、対象例においては非常に効果的であると同時に合併症発生率が低く、高い患者満足度が得られます。
混濁の大きさや数にもよりますが、1~3回の治療で終了できる方が多いです。
しかし、すべての方が治療の対象になるわけではありません。
小さい混濁の場合、飛蚊症に慣れられるかどうか、1~2か月の期間を設けた上で、治療対象となるかどうかを判断します。判断には、十分な検査と専門医師の判断が必要となります。
ビトレオライシス治療の実際
YAGレーザーによる《ビトレオライシス治療》は診察室で行います。
まず、点眼薬で瞳孔を開きます。
手術を行う場合とは違い、点眼麻酔剤のみで表面麻酔を行ないます。
座った姿勢で顎台に顔をのせ、特殊なレンズを目に当ててYAGレーザー照射を行ないます。この光線は自分には見えないので、まぶしさや痛みはありません。
レーザー照射1発ごとに少しずつ濁りが砕かれ、小さくなっていきます。
混濁の大きさにもよりますが1回の治療時間は15~30分程度です。治療後、眼圧の検査などを行います。
術後の眼帯は不要ですが、当日は瞳を開いた為に眩しくなりますので、自動車の運転はできません。
翌日、1週間後、1ヶ月後と最低3回の診察が必要になります。
ビトレオライシス治療における安全性や副作用
《ビトレオライシス治療》に使うYAGレーザー光は物質を熱蒸散させ、砕く作用があります。
眼科では、以前より後発白内障や緑内障の治療に用いられており、すでにその安全性は確立されている医療用レーザーの一種です。
《ビトレオライシス治療》に使用されるレーザー機器はビトレオライシス専用の機材で、網膜や水晶体などの組織を出来るだけ傷つけず、安全に硝子体混濁を効率よく破砕できるように工夫されています。
しかし、副作用として水晶体や網膜の損傷による白内障や、網膜裂孔が起こる可能性が無い訳ではありません。
このため、十分なトレーニングを受けた「ビトレオライシス研究会認定の医師」に施術を受けることが推奨されます。当院の院長は、レーザービトレオライシス研究会会員としてこの臨床研究に参加し、認定指導医師(Proctor)に認められています。
ビトレオライシス治療の費用
レーザービトレオライシス装置は、厚生労働省の認定を受けて販売されている医療器具ですが、まだ国民健康保険の対象にはなっていませんので、自費治療になります。
詳しくは診察の際に院長にお尋ねください。
*レーザービトレオライシス研究会会員認定指導医師(Proctor)証書